「YOUは何しに日本へ」・・・鍛冶技術に超興奮の15歳アメリカ人少年いいねぇ~

鍛冶技術

バナナマンが司会をやっている「YOUは何しに日本へ」が好きでよく見ていますが、この番組好きだわぁ。

8月24日放送分では、アメリカのボストンから、日本で働いているお父さんに会いにきた15歳の少年の話がよかった。

鍛冶技術

photo credit: CRKT Ken Onion Ripple 2 via photopin (license)

自分が15歳のときのことを考えると、あのしっかりさと行動力。凄い。もしタイムマシンで15歳のときに戻れたら、「おい!自分、もっとがんばれ!」と言ってやりたいね。

日本に来て、やりたことのひとつが「鍛冶技術」を生で見たいということ。

「鍛冶技術」を持つきっかけになったのは、小さい頃(7~8歳)、お父さんからナイフをプレゼントしてくれたことが始まり。彼は工作が好きで、父親が忙しかったこともあり、そのナイフで遊んでいてその魅力にはまってしまったようです。

彼曰く、「ナイフの魅力は刃物は切るための生活に欠かせない道具であると同時に上質な刃物は見て美しいアート作品でもあるってことなんだ」

いやぁ~この気持ち分かるなぁ。用途に合わせた様々な形状や、刃紋など、雑誌などで写真を眺めているだけでも楽しい。

 

彼が今回目指すのは、新潟県三条市の鍛冶屋さん。東京から約4時間の場所。
私が知っている刃物で有名な場所といえば、「関鍛冶」で知られている「岐阜県関市」ぐらいでしたが、新潟県三条市も有名なところだったんですね。

新潟県三条市は、世界的に知られている刃物の街。大小 約600社が金属加工業を営み、鍛冶から発展した金属加工技術は「調理用具」、「高級食器」などにも受け継がれているということです。

【参考サイト】
国指定伝統的工芸品「越後打刃物」
三条鍛冶道場
三条鍛冶道場(越後三条鍛冶集団)FACBOOKページ

三条市の鍛冶屋さんがある地域にたどりつき、作業をしている音のする一軒のお宅へ入ってみる。
映像を見ていると、とても自然な流れで入っていくのでアポイントをとって伺っているのと思いきや、なんとノンアポ!

番組のスタッフさんが事情を説明して、突然の訪問でも受け入れをしてくれました。

訪問した先は、「日野浦刃物工房」ということろ。(日野浦刃物工房FACEBOOKページ
日野浦刃物工房さんは、創業110年 伝統の技を受け継ぐ鍛冶屋 昔ながらの製法で和包丁やナイフなどを生産。ドイツ・アメリカの刃物ショーにも出展 国際的な評価を受ける刃物製造所。

3代目社長の日野浦司さんがいろいろとお話をしてくれて、玉鋼(たまはがね)を見せてくれたり、工房で製作した刃物を見せてくれたりしました。

玉鋼(たまはがね)は、興味ない人が見れば、何だそれ?というか、ただの石ころ程度にしか見えないけど、興味を持っている人が見れば、とても凄い価値あるもの。
玉鋼

玉鋼(たまはがね)は、明治時代初期まで盛んだった日本古来の技術「たたら製鉄」で作られた鋼。ものはいいけど、とても手間がかかるもの。現在は、日本で唯一、島根県奥出雲町で製造技術が守れているそうです。

【参考】
奥出雲観光文化協会公式サイト-奥出雲ごこち:奥出雲 たたらと刀剣館 見学レポート

 

4代目の日野浦 睦さんが和包丁を作るための地鉄(やわらかい鉄)と鋼(堅い鉄)を結合させる鋼づけ(はがねづけ)作業を見せてくれました。

その作業は、熱する温度や時間、叩く回数など、職人の経験と知識が刃物の品質を左右する職人技。
作業をされている様子を見るとほんとカッコいいねぇ~。この作業を、言葉で単純に書き出すと、短い説明になってしまうけど、真っ赤に熱せられた鉄を叩くときの感触とかなかなか言葉で表現するのが難しい領域があるんだろうね。そこを長い時間をかけて鍛錬して会得していく職人さんはカッコいい。

途中、3代目社長さんが話していた言葉が、とてもよかったなぁ。

「海外の若い人が日本の鍛冶技術、刃物作りに興味を持ってくれることは僕は今日非常にうれしい
刃物作りの鍛冶屋だけじゃなくいろんな技術が日本にはある。
良いものが日本にあるのになぜか日本はみんなそれを捨てていってしまう。もったいないと思うな。」

日本独自のものって、ときにガラパゴス化などと表現されてネガティブな印象で、世界標準になりにくいものを捨てていってしまうよう気がするけど、世界標準ってある意味、可もなく不可もなくってこと。

人種、地域、用途が異なれば、ガラパゴス化最高だと思う。

日本の刃物が世界中の料理人から評価されるのも本当によいものだから。
料理人用の包丁だけじゃなくて、アメリカの警察官が使うナイフだったり、軍用のナイフなんかも日本のメーカーが使っていたりします。命のやり取りをする場面でナイフが切れないとか、折れるとかがあってはとんでもないことですからね。

そのひとつで、皆さんもよくご存知の「貝印」。ここが海外ブランドしている展開している「kershaw」。この中で「Zero Torelance」[ 「許容誤差0」(~精密無比)の意) ]は、警察官など販売されていてとても評価が高いナイフです。現在は、日本でも市販されていて購入ができます。

Amazon「Zero Tolerance ナイフ
番組の終わりのほうで、四代目社長がこの少年に「白紙(ホワイトペーパー)」という世界一ピュアな鋼をプレゼントしてくれましたが、このプレゼントを受取ったときの顔がとてもよかった。

白紙(ホワイトペーパー)

本当に感動して、言葉がでない瞬間っていうのはこういう感じになるんだなというのが画面を通してありありと伝わってきた。

この少年が将来、ナイフ職人になってまた、「日野浦刃物工房」を訪れる様子を見てみたい、そんな気分になりました。

 

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